【映画感想】「映画大好きポンポさん」

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2021年06月04日公開。
原作は杉谷庄吾【人間プラモ】によるpixivに投稿されていた漫画で、監督は平尾隆之、制作会社はCLAPです。

タイトルにもなっているポンポさんは凄腕映画プロデューサーで普段はB級映画ばかり撮っています。そんなポンポさんのもとで制作アシスタントをしているジーンは、映画が大好きで撮影してみたいという夢はありましたが、自分には無理だと卑屈になっていました。そんなある時、ポンポさんに新作映画の15秒CMの制作を任され、映画づくりの楽しさを知るところからスタートします。

予告編

感想

ポップな絵柄からはとても想像できないほどの泥臭さと汗臭さ。彼らがいろいろなものを犠牲にしながら、作り上げたものがこの作品の中には凝縮されています。心の底から大好きといえるものはありますか?大好きなもののためにひたむきに一生懸命に走り続ける、そんな彼らがただただかっこいい。

あらすじでもある通り、映画を製作する映画です。前半部分はどちらかというと映画の撮影パートになっていてこのパートもすごくおもしろい!ナタリーという新人女優を起用するんですが、なぜ彼女を起用したのかが映像だけで伝わってきます。それぐらい魅力的に描かれています。わりかしテンポよく進んでいっているところも良かったです。おそらく本当に描きたいところは後半パートにあったのだと思います。

前半パートで特に好きなのは、フォーカスの話をしているシーンと随所に出てくる映画館のシーンです。この2つのシーンは全編を通して、一つの軸になっているように思えます。

後半パートは撮影が終わって、編集などをするパートになるんですが、このパートの面白さは異次元です。忘れてはいけないのはポンポさんはプロデューサーで、ジーンは監督なんですね。前半でポンポさんは破天荒なキャラというイメージでしたが、なぜ凄腕プロデューサーたるかがこの後半パートにて現れてきます。

また、この後半パートでは、「選択」、「切り捨てる」という言葉が重くのしかかってきます。なぜこんなにも重いのか?それは前半パートにすべて含まれています。選択とは何かのために何かを捨てることです。監督であるジーンが映画のために捨ててきたもの、この映画のために切り捨てるもの、その覚悟が現れており好きな部分です。

本作品では、映画オリジナルのアレンというキャラクターがいます。だいたいオリジナルキャラクターというと浮きがちですが、彼は必要不可欠というレベルで溶け込んでいます。ジーンの過去と現在ともうまくマッチしており、登場キャラクターたちの思いを引き出すのにも一役買っています。

夢や好きなものに向かって一生懸命突き進むことをもう一度頑張ってみようかなと思わせてくれる前向きでポジティブな作品だと思いました。だいたいの配信サイトで鑑賞できるので、前向きな気持ちになりたいときにおすすめです。(配信サイト一覧はこちら)

最後に僕がこの映画で一番好きなところは、上映時間が90分だということです。