【映画感想】「RAMB/ラム」

基本情報はこちら

第74回カンヌ国際映画祭のある視点部門で《Prize of Originality》を受賞、アカデミー賞国際長編部門アイスランド代表作品にも選出など国際的にも話題になってたようです。僕はあまり知りませんでした。国内だと羊のアダちゃんの画像がかわいくて、話題になってたような気がします。僕のTwitterだけかもしれませんが…。監督のヴァルディミール・ヨハンソン氏は、もともと「ゲームオブスローンズ」や「ローグワン」などで美術、特殊効果、技術部門などを担当しており、アイスランド映画界だとかなりのベテランのようです。そんな彼が初めて撮影した長編映画がこの作品です。

予告編

感想

とにかく想像力を刺激される作品でした。観た後に「あれはなに?」と観る人によって十人十色の解釈が生まれると思います。あまりがっつりしたネタバレは書かない主義ですが、感想のあとに個人的な解釈を書いておこうと思います。黒塗りにするのネタバレが嫌な人は安心してください。

映画側からこれは何々で~という説明はほぼないです。セリフもとにかく少ないです。このセリフや説明を極限まで排除したこの作品はどこか美術的な印象を受けます。世界観的になんとなく夫婦で牧場をやってるんだなぁ、羊を飼ってるんだなぁ、犬を飼ってるんだなぁというのを映像から想像できますが、そこに対して、なんで牧場をやっててとかの説明はないです。ただ、これらの説明とかは正直どうでもいいと思います。牧場やってるとかの設定はどうでもよくて、一番重要なのは作中で生まれてくる羊?のアダちゃんです。最初は、ただの羊をなんで大事にしてるんだと思うんですが、物語が進むにつれて何かが変なんですよ。羊ではない”何か”であることがわかるんですけど、その”何か”が何なのかはわかりません。アダちゃんを育て始めてからはすごく幸せそうですが、果たしてこの幸せは…?と考え始めてると、クライマックスで…。

これは何だろう?あれは何だろう?とこの世界に囚われていくうちに迎えた結末はかなりの衝撃です。なんでこの結末を迎えたのか、受け入れるのには時間がかかると思います。万人向けではないと思いますが、複数人で観てああでもないこうでもないと解釈違いを楽しむのがいいと思います。

2023年1月にPrimeVideoにて配信予定なのでぜひチェックしてみてください。

個人的な解釈※ネタバレあり

※ネタバレ注意

”開く”
まず最初のシーン、羊の飼育小屋を誰かの目線で映している場面がありますが、これは最後に出てくる羊男の視点だと考えています。この場面で羊男と母親となる羊の間にアダちゃんを授かります。
次にアダちゃんの出産シーンです。ここで主人公夫妻が母親羊からアダちゃんを奪い取ります。アダちゃんを奪い取られたので母親羊は子供を返してほしいと鳴き声などで抗議します。
これを鬱陶しいと思った主人公夫妻は母親羊を射殺します。
途中で出てくる夫の親族は、やばい奴ですが外からこの夫婦、アダちゃんを見たときに異常であることを伝える一般人的ポジションに見えます。
そしてクライマックスのシーンです。羊男が妻を射殺して、アダちゃんを連れ去ります。このシーン何か見覚えがありますね。そう、最初にアダちゃんを育て始めた状況と同じです。
人ではないので歪に見えますが、これを同じ人間同士だと考えてみたらどうでしょう?羊男は自分の妻を殺されて、子供を連れ去られています。この状況から主人公夫妻に同じ思いを味合わせてやりたいというような思いになったのかもしれません。
もしくはそもそも幸せを奪い取ったという罪の報いを受けたのでは?という風なことを考えました。
以上が僕の個人的な解釈です。