【映画感想】「ブレードランナー 2049」
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2017年10月27日公開。監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ、主演はライアン・ゴズリングです。1982年に制作された「ブレードランナー」の続編となっており、前作主演のハリソン・フォードは引き続きリック・デッカード役で出演、そして前作の監督だったリドリー・スコットは製作総指揮を担当しています。
第90回アカデミー賞では5部門にノミネートされ、撮影賞と視覚効果賞を受賞しています。
前作「ブレードランナー」から本作までの年表は以下のようになっています。なお一部の出来事については、公式Youtubeにて短編作品が公開されています。短編になっている出来事については、本編中でも重要なキーワードとして登場します。
2019年(ブレードランナー)
タイレル社社長エルドン・タイレルが「ネクサス6型」レプリカント、ロイ・バッティに殺害される。
ブレードランナーのリック・デッカードがレプリカントのレイチェルと共にロサンゼルスから逃亡。
2020年
多くの反乱を起こした「ネクサス6型」レプリカント達は寿命年限を迎え死滅。
タイレル社は年限を設定していない「ネクサス8型」を市場に投入したが、人間至上主義運動が興った結果、レプリカントと見なされた者が私刑のうえ虐殺される事件が相次ぐ。
2022年(ブレードランナー ブラックアウト2022)
アメリカ西海岸で何者かにより高高度核爆発が引き起こされ、EMPのために電気通信インフラとあらゆる電磁気記録が破壊される「大停電」が発生。都市機能は大打撃を受ける。
2023年
「大停電」はレプリカントの仕業ではないかという世論に後押しされ、レプリカントは法律で無期限に製造禁止となり、タイレル社は倒産する。
2025年
科学者ニアンダー・ウォレスが遺伝子工学を応用した合成食料の技術を無償公開。合成農場が多数建設され、深刻化した環境破壊による世界的な食糧危機が解決に向かう。
2028年
ウォレスが旧タイレル社の資産を手に入れる。
2036年(2036: ネクサス・ドーン)
より従順で寿命制御も可能な「ネクサス9型」の開発を進めたウォレスは、政治家に働きかけてレプリカント禁止法を廃止させる。
2040年台初頭
違法レプリカントである「ネクサス8型」の解任の為、LAPDはブレードランナーの組織を強化する。
2048年(2048: ノーウェア・トゥ・ラン)
ビビのバーにて発生したトラブルにより、「ネクサス8型」レプリカント、サッパー・モートンの所在が明らかになる。
感想
「ブレードランナー」の30年後を描く正当な続編。ある種タブーともいえる奇跡によって人間であることのアイデンティティや必要性などが脅かされることで、前作のテーマでもあった「人間の在り方」を問いかけられる。
世界観は前作に引き続き「サイバーパンク」という感じです。前作より30年後の未来ですが、技術が飛躍的に向上しているというよりは、現実的に30年進んだらこういう感じだろうというような感じになっていて、前作の世界観が好きな人はハマれると思います。前作よりも退廃している雰囲気が出ていて結構好きでした。世界設定的に地球の終わりかけというか、文化の終わりかけの最後の輝きというような雰囲気を感じました。
主人公であるKはブレードランナーですが、レプリカントです。しかしながら、人間味もありレプリカントであると言われなければわかりません。ストーリーの軸的にも前作での人間目線から、逆の目線であるレプリカント目線で描くために主人公をレプリカントにしたのかなと思いました。一見人間のように感じながらもレプリカント的特徴も見え隠れするライアン・ゴズリングの演技は素晴らしいです。
ストーリーのテーマは前作と変わらず「人間とは」というところを問いていると思います。前作では主人公であるデッカードの心情などからそういったテーマが見え隠れしていましたが、本作では苦悩であるとかメンタル的な部分ではなく、その場で起きた事象から本作のテーマを突き付けられます。事実として突き付けられるので、思い切りハンマーで殴られたような衝撃で「人間ってなんだ」と深く考えてしまいました。
前作から人間至上主義であるという考え方は、社会的にもあまり変わっていないのかなと思います。しかし本作ではこの考え方を覆すような事実が存在しているので、今後のこの世界はどんな歴史を紡いでいくのかはすごく気になります。ローマの歴史家クルチュウス=ルーフスも言っていますが、歴史は繰り返すものなのか…?。
前作の世界観が好きな人は楽しめると思うのでぜひ短編作品も含めて観てみてください。
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