【映画感想】「別れる決心」
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2023年2月17日日本公開で監督はパク・チャヌク、主演はパク・ヘイルとタン・ウェイです。第75回カンヌ国際映画祭では監督賞を受賞、第80回ゴールデングローブ賞では最優秀非英語映画賞にノミネートさらに第95回アカデミー賞国際長編映画部門においてノミネートは逃しましたが、韓国代表作品として選出されています。
感想
知れば知るほどほどゆっくりじわじわと沈んでいく。まるで潮が満ちるように。気づいたころには溺れて引き返せない。なぜ溺れるか?それはこの作品のじわじわ沈んでいく感覚が、まるで麻薬のように中毒となり酩酊していく。そして最後には崩壊する。
あらすじや予告を観てもらうとわかるとおり、ミステリー+ロマンスでなんとなくドロドロした恋愛が繰り広げられる感じなんですが、この情報だけでUターンしないでもらいたいです。「どうせいつもの韓国ドラマのノリなんでしょ?」と思ってる人は逆に観たほうがいいと思います。最初はつまらなく感じる部分も多いかと思いますが、この作品の中でひとつ大きな転換点があります。ここからめちゃくちゃ面白くなります。
この転換点を迎えた後からすべての歯車が噛み合いだします。見せ方もかなりうまく、噛み合う歯車がどんどん出て動き出すのではなく、いままで全くかみ合わなかった歯車が転換点を迎えることですべて動き出すようになっていきます。正直このシーンを観たときには、頭に電流が走ったような衝撃でした。たった3桁の数字が見えただけなのに…。
刑事ヘジュンと被害者の妻ソレで出身が違うというところも本作品のもどかしさというか物語をさらなる深みへ呑み込んでいきます。ソレは中国出身で韓国語は話せるのですが、あまり堪能ではありません。そのためどうしても変な表現を使ってしまう場面があります。また難しいことを話す場面では、翻訳アプリなどを通して、自分の言葉を伝えます。この言葉の壁がとてももどかしく、これによってどんどん沈んでいく感触を覚えます。言葉の壁はあるのにも関わらず、何か別のもので繋がっている不思議な感覚も覚えます。
いろんな感想等で言われていますが、複数回観てみるのもすごくいいと思います。1回目はヘジュンの視点で2回目はソレの視点でという感じでそれぞれ違う視点を観るとより深みにハマっていくと思います。
物語すべてに散りばめられた点は、よく観ると結末に向けた小さな歯車です。その歯車が動き出したときどんな結末を迎えるのかぜひ観てみてください。
おまけ
本作監督の来日時のQ&Aです。ネタバレ込みの解説が入っていますので、ぜひ鑑賞後にご覧ください。
Q&A
パンフレットです。封筒に入っていて、絆創膏っぽいテープで封をされているのがなかなか凝ってます。
パンフレットの装丁もおしゃれです。中身は大学ノートみたいでポストカードまで入っていました。ポストカードは10枚ぐらい入ってます。
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