【映画感想】「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」

公式サイト:映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』 | オフィシャルサイト| ソニー・ピクチャーズ

2023年6月16日公開。2018年の『スパイダーマン:スパイダーバース』の続編で、Part1、Part2からなる作品のPart1。Part2となる『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』は2024年公開予定。日本語吹き替え版のみ主題歌はLiSAの「REALiZE」。

予告編

感想

スパイダーマンだからこそできる映像表現のすべてがここに詰まっている。スパイダーマンでしかできない境界を越えた表現が活かされている。アニメーション映画でありながら、アニメであろうとするのではなく、コミックであろうとする前作でもあった映像表現が今作ではさらに進化している。様々な世界の境界を取り払って一見まとまりがないように見えるが、一つの作品として成立している。

まず観てから衝撃を受けたのは前作から進化した映像表現でした。よりリアルになったという進化ではなく、アニメとして進化したでもなく、コミックに表現を寄せるという独自の進化を遂げていてびっくりしました。特にわかりやすかった部分としては、音の表現です。アニメなので、効果音や環境音が鳴るとき普通に音を鳴らして映像では改めて表現する必要はないところを、コミックと同じように「吹き出し」と「♪」であえて表現していました。コミックをアニメ化するのではなく、コミックをそのまま動かしたらアニメになったという感じで衝撃を受けました。

前作ではマイルスの世界がメインでそこにいろんな世界の人たちが集まるという感じでしたが、今作はストーリー的にも各登場人物の世界に飛ぶということもあり、別の世界が登場します。別世界の表現もなかなか良くて、明らかに違う世界であるというのがパッと見で分かるように、異質な感じや違和感が表現されていました。特にグウェンの世界はマイルスの世界とはあまり大きく変わらないのですが、その代わりに背景の色味などで感情が表現されていて、どこか幻想的でありながらも感情的な雰囲気を感じました。

スパイダーマンにしかできない表現として、いままで公開されてきたスパイダーマンの映像作品まで巻き込んできました。当然ながら、実写作品なので実写です。通常のアニメだととんでもない違和感ですが、前作より出身世界の世界観をそのまま表現するということを続けているので、異質感はありつつもストーリーや世界設定できちんと馴染むようにできています。コミック、アニメ、実写が融合した一見するとカオスな作品ではありますが、うまくまとまっていてこういったところはスパイダーバースでしかできない表現かと思いました。

ストーリーについては本作で完結しているわけではないので完全には語れませんが、マイルスがイレギュラーであることが主軸となったストーリーになっているように感じました。作品全体の雰囲気としてはストリートカルチャーが近いのではないのかなと思っています。調和を保つために運命に従えという管理者サイドとそれに反骨するマイルスというような構造に見えます。最終的にどういった結末を迎えるのか次回作が楽しみです。

前作を観ていることが前提の作品なので、前作を観ていて面白いと持った人は楽しめると思います。スパイダーマンシリーズのファンは間違いなく必見です。

おまけ

パンフレットと入場者特典。パンフレットはシールがついてる。入場者特典は最後の特典。

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