【映画感想】「ボーンズ アンド オール」
公式サイトはこちら。R18+指定作品のため、鑑賞の際にはご注意ください。
2023年2月17日公開です。監督はルカ・グァダニーノ、主演はテイラー・ラッセル、ティモシー・シャラメです。本作品は第79回ヴェネツィア国際映画祭にて、銀獅子賞(ルカ・グァダニーノ)とマルチェロ・マストロヤンニ賞(テイラー・ラッセル)を受賞しています。(※監督賞と新人俳優賞)
監督ルカ・グァダニーノと主演ティモシー・シャラメのコンビは「君の名前で僕を呼んで」に次ぐ2作品目となっています。また、ティモシー・シャラメは本作品で初めて製作にも携わっています。
原作はカミーユデアンジェリスが著者の「Bones & All」です。日本語版も出版されています。
感想
社会の片隅で生きるというよりは社会から弾かれた彼女たちが「自分とはなにか」を探し求めて旅するロードムービー。ただ単に人とは違うのではなく、社会から禁忌として扱われる。普通に暮らしたい、居場所が欲しいだけなのに。骨まですべて愛しあう彼女たちの旅の結末に待つものは…。
あらすじからもわかる通り主人公は人を食べてしまう衝動を抑えられないという特徴があります。この特徴があるために主人公マレンは友達とも必要以上に仲良くできません。見た目は普通なのに、普通の生活を送ることはできない、「なぜ自分だけが?」と強い孤独感を持っています。そんな孤独感を持ちながらも自分のルーツを探す旅にでるマレンは強いように映る一方、旅のきっかけとなるたった1枚の紙で孤独を埋めているようにも感じられます。
旅を続けていく中で自分と同族である人物たちとも出会っていきます。最初に出会うサリーはいままで同族と接したことがないマレンに対して、自分たちのマナーなどを教えてくれます。次に出会うのがもう一人の主人公であるリーです。彼は、マレンとも年齢が近く、旅をサポートしてくれます。リーはマレンとはコインの表と裏のような関係です。マレンはどちらかというと内向的で人を食べることに対してとても消極的です。リーは外交的な感じで人を食べることに対して「生きるためには仕方がないことだ」とある程度受け入れています。
リーはアウトサイダーというかどこか強く見えるように思えますが、その中身はとても繊細で人食いという特性の罪を背負い続けています。そんな繊細な内面を隠すために、外見で強く反抗的であるところをアピールしているのではないかと思います。今まで外の世界をあまり知らなかったマレンに対して、新しい世界を教えてあげたり、反対にマレンから自分の在り方を教わったりとお互いに影響し合うところはエモいです。本作を観終わった後には、マレンとリーこの二人の組み合わせをもっと観てみたいと思いました。
舞台は1980年代のアメリカ中西部です。この時代背景からもロケーション的にはちょっと閉ざされた田舎という印象を感じます。この閉ざされた田舎というのはなかなか社会性を強く感じることから、主人公たちの孤独感もより強く感じます。
主人公たちは18歳ぐらいの年齢で、同じくらいの年代の人にはすごく響くような内容だと思います。R18+指定なのが残念ですが…。とはいえ年齢を重ねた方でもあの頃に忘れていた思いや感覚を掘り起こされ、人としての在り方などをもう一度考えさせられると思います。
おまけ
パンフレットです。ちょっと血のような色の装丁になってます。
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