【映画感想】「アステロイド・シティ」

公式サイト:映画『アステロイド・シティ』公式

2023年9月1日公開。監督はウェス・アンダーソンでトム・ハンクス、スカーレット・ヨハンソンなど名だたる俳優が出演しています。

予告編

感想

1955年が舞台のパステルカラーのどこか懐かしさを感じるアステロイド・シティはおしゃれで独特な雰囲気は一見の価値がある。しかし、最序盤で明らかになる予告でも一切伏せられていたもう一つの白黒パートが、致命的な欠点になっている。

前提として本作品は劇中劇という感じになっていて、映画の中でアステロイド・シティという舞台をやっている設定です。舞台パートと舞台裏パートの2つに分かれていて、本感想では舞台パートをカラーパート、舞台裏パートを白黒パートと呼んでいきます。

まずは良い部分から書いていきます。
カラーパートにおいてはとにかくお勧めできる要素しかないです。ぱっと見のどこか懐かしさを感じる部分はとても魅力的です。昔のアメリカっぽい独特なガジェットが登場したり、田舎町にありがちな工事途中のものが放置されていたりなどなどとにかく目を引くものが多いです。
カラーパート部分の進み方はゆっくりで、俳優の動きもすごく特徴的に見えます。動きながらというよりも止まって話すという感じで、何か行動がある前にあえてワンテンポ遅らせているように感じました。
また、カラーパートではとにかく背景の動きが多く感じました。誰かにフォーカスする見せ方をしているのですが、後ろでは子供たちが動き回ったり、時には後ろの方が気になるシーンもありました。日常的な部分を表現しているのかなと感じて個人的には好きでした。
物語全体の流れとしても、初めて来たアステロイドシティの日常が主人公たちの日常印変わっていく描写も好きでした。
あとは宇宙人の姿はかなりの衝撃ですね。

次に悪い部分です。
白黒パートがひたすら蛇足でしかないと感じました。カラーパートの合間合間に白黒パートが流れるんですが、これがすごくテンポが悪いです。気持ちよく寝てたのに、深夜3時ぐらいにたたき起こされて、写経をさせられるぐらいのストレスです。おまけにこの白黒パートの内容がほんとに好きじゃなかったです。内容が主にこのアステロイド・シティという舞台を完成させるために脚本家の人は苦労して~、主演俳優はこんな風に出会って~、カットされたシーンでこれがあって~という感じで後付けの裏設定を語ってきたのが嫌でした。たまに感想とかで「この時脚本家はなんか事情がある中で作ってた。だからこの脚本はすごいんだ!」というのがありますが、そんな情報どうでもいいし、別にその情報面白さと関係なくない?という感じです。というわけでこの白黒パートは僕の嫌いな要素しか詰まってないので、致命的な欠点だと思いました。
白黒パートの全体的にとっ散らかって、最終的にストーリーもよくわからん感じで終わってるのでやっぱり蛇足なのでは、と感じざるを得ないです。

予告編に惹かれてストーリーに期待していくとかなり痛い目を見てしまいますが、予告編で流れてた世界観が好きな人は楽しめると思います。とはいえ問題の白黒パートが3分の1ぐらいを占めてるので、おすすめが難しいところです…。

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