【映画感想】「名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊」
公式サイト:名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊 – 20世紀スタジオ
2023年9月15日公開。
監督・主演はケネス・ブラナー。「オリエント急行殺人事件」「ナイル殺人事件」と続くケネス・ブラナーの名探偵ポアロシリーズ3作品目です。原作はアガサ・クリスティの「ハロウィン・パーティ」です。今作から、タイトルに名探偵ポアロと付くようになりました。過去2作とは、一応つながっているので観ておくとより楽しめると思います。特に前作のナイル殺人事件は割と繋がりがあります。
感想
前2作には無かったホラー要素を含んだ作品。前半の色彩豊かな場面と中盤以降の色味が少ない場面がよりホラー要素を際立たせ、ストーリー中の奇妙な違和感に対する気づきを曇らせる。まるで憑りつかれたように亡霊の影を追いかけてしまう。
ストーリーについては、どうしてもネタバレできないジャンルの都合上あまり大きくは語れませんが、これまた一本取られた!という感じで、種明かしのシーンではきれいに片付いていって思わず鳥肌が立ちました。過去2作が好きな人やミステリーものが好きな人は間違いなく楽しめるでしょう。
今作ではホラーチックな要素がありますが、これがまたこれ真実どうなってんの?とかほんとに亡霊の仕業じゃね?とか思わせてきて、正解が見えなくなるんですよね。だけどよくよく思い返してみると、象徴的なシーンはすごく自然でありながら、わかりやすくアピールされてるんですよね。だから最後の事件解決のシーンでもしっくりきて最後はすっきりできるんですね。最後のあれはたぶん本物かもしれないですけど…。
全体の色味の使い方も個人的には印象に残っています。序盤はすごくカラフルだけどちょっと色味が薄い感じの懐かしいような色使いで、事件が始まる中盤からは夜ということもありますが、モノクロっぽい雰囲気で夜の暗さをしっかり表現しているように感じました。序盤と中盤の色味の差が、ホラーや非日常といった物語の要素を強調しているように思いました。そして終盤はまた序盤と同じ雰囲気で日常に戻っていく、といったことを表現しているのかなと思いました。
今作のテーマは一言で表すのは結構難しいかなと思います。前作のナイル殺人事件は、愛という分かりやすいテーマがありました。今作はいろんな欲望が交錯してい凄く複雑にみえました。でもある意味今作のテーマも愛なのかもしれないです。
ミステリーものは初見で突っ込むのが一番面白いので気になった方はすぐに観てください。アガサ・クリスティーの小説が原作ですが、読んでなくても余裕で楽しめます。僕は読んでません。また本作は原作から改変された部分があるようなのでそういった面でもおすすめです。
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