【映画感想】「レヴェナント: 蘇えりし者」

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公開年は2015年。「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」でアカデミー賞を受賞したアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥが監督、主演は「インセプション」などのレオナルド・ディカプリオ、音楽には坂本龍一が参加しています。「ヘイトフル・エイト」、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」、「オデッセイ」、「エクス・マキナ」などやべー作品がひしめく第88回アカデミー賞にて、監督賞および主演男優賞を受賞しています。なお、レオナルド・ディカプリオが初めてオスカー像を手にした作品でもあります。当時は同じサバイバル系の「オデッセイ」が同時期に公開されていたため、明るいサバイバルの「オデッセイ」、暗いサバイバルの「レヴェナント」という感じでした。

予告編

感想

僕はこの映画かなり好きなんですよね。公開時にすぐ観に行ったので観たのは7~8年近く前ですが、今でも頭の中に残ってるシーンがあります。一番残っているのは一番最後のシーンで、レオナルド・ディカプリオ演じる主人公ヒュー・グラスの表情がとにかく忘れられません。今でも頭に強く焼き付いています。おそらくこの主人公と同じ体験をしないと出てこない表情がとにかく頭から離れないです。言葉で表現するのは無理なのでとりあえず観てほしいです。

この作品は原作があって「蘇った亡霊:ある復讐の物語(日本版だと映画のタイトルと同じ)」という小説がもとになっています。この小説が産まれた経緯もかなり面白いです。もともとは、1800年代に猟師の間で焚火を囲みつつ語り継がれていた伝説的な話が基になっています。(「クマに襲われたけど生きてるやばい奴がいるらしいぜ」みたいな話)この話を作者のマイケル・パンクが1997年から調査し、ほんとにそういう人がいたということからこの小説が産まれています。

舞台である1823年は西部開拓時代で先住民とハンターで争いがおきていたりしたような時代です。大体こういう系の映画は先住民側が蛮族のような描かれ方をされがちです。実際には、先住民側に対する理解があればいきなり襲ってくるということはなく、きちんと誠意を持った対応をされていました。郷に入っては郷に従え、みたいな感じです。事実、文化に理解ある入植者の商人たちと結婚した先住民の方も多かったようです。今作では最初は野蛮に映りますが、ハンター側の態度における対応をされています。助けられたらその恩はきちんと返しますし、一方的に襲われればもちろんしっぺ返しが来ます。こういう描かれ方をしているので一方的に野蛮だとか悪だとかという描かれ方はされていなくて、正しい描かれ方をしています。

本作のテーマはサバイバルと復讐です。サバイバルシーンはとにかくリアルというか実録レベルです。ディスカバリーチャンネルなんかでよく観るサバイバルのドキュメンタリーかのようです。冬山なのでくそでか芋虫みたいなのは食べませんが…。復讐については、この物語において主人公の生きる理由そのものです。最初にも話しましたが、この物語の結末で主人公が何を思うか、それもこの作品の魅力の一つです。

音楽は坂本龍一が担当していますが、BGM的なものはほぼないです。自然の音がメインのような作りになっています。音楽に限らず、全体的に自然そのままの表現にこだわっているような印象を受けます。こういったこだわりから作品全体がリアルに映っているのかなと思いました。

作品のテーマが重いので観た後は、ずーんと重くのしかかるかもしれませんが、レオナルド・ディカプリオの演技が光る間違いなくお勧めできる作品ですので、機会があればぜひ観てみてください。そして最後のシーンを一緒に頭に焼き付けましょう。

レヴェナント:蘇えりし者(字幕版)
レヴェナント:蘇えりし者(吹替版)

公式Twitterにてインタビュー記事等の情報発信がされていますので是非観た後に確認してみてください。

※当時の写真を探しましたが、ポスターなどの写真は撮ってなかったようです…。