【映画感想】「mid90s ミッドナインティーズ」
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2020年9月4日公開。監督はジョナ・ヒルで、主演はサニー・スリッチです。ジョナ・ヒルはマネーボールやウルフ・オブ・ウォールストリートに出演している俳優ですが、本作品で長編映画監督デビューをしています。
タイトルの通り、時代背景は1990年代半ばで舞台はロサンゼルスです。13歳のスティーヴィーは兄のイアン、母のダブニーと暮らしてます。小柄なスティーヴィーは兄に全く歯が立たず、なんとか見返してやりたいと思っていました。そんな中、スケボーショップで出会う人たちによって変わっていきます。
感想
13歳の少年のどこか危険な成長物語。スケボーショップで出会う仲間たちは、はたから見ると危険。しかし本人たちにはかけがえのない仲間たち、そして大切な居場所である。あらゆることから孤独感、閉塞感を感じている彼らの居場所をただただありのままに切り取った物語。
この作品が刺さるのは90年代半ばあたりに、子供時代を過ごした人達だと思います。僕はだいぶ後の世代なのであまり刺さることはなかったです。なぜ90年代半ばあたりに子供時代を過ごした人達に刺さるのかというと、本作における空気感どこかホームビデオのような懐かしさを感じます。ただただひたすらまっすぐに撮影されていることで、当時の雰囲気のようなものが映像に表れています。
しょっぱな主人公のスティーヴィーが兄貴にボコされているところから始ります。しかしその後は兄の部屋にこっそり入って、兄が好んでいる服や音楽などに触れており、見返してやりたいと思いつつも身近で強い存在である兄に対する憧れがあるのかな、とちょっとほほえましく感じます。前半は。
後半に進んでいくにつれて、憧れは兄からスケボーショップで出会った仲間たちへと移っていきます。最初は不良ぶっていたいけどなりきれない感じや背伸びしている感じが微笑ましいです。しかし、物語が進むにつれてだんだんと「こいつ大丈夫か?」と心配になっていきます。階段を何十段もすっ飛ばしてしまうところが危険に思えます。
少年の成長物語である一方、コミュニティであるスケボー仲間たちの成長物語であるともいえます。スケボー仲間たちはうまくできたコミュニティであるように見えて、それぞれが問題を抱えています。直接は見えてこなくとも会話の節々から感じ取れます。別に作品中で何かを解決するわけでもありません。ただ、スティーヴィーとの出会いは彼らにとってかけがえのないものになっているはずです。
この感想を書いてて僕も少年時代に年上の人とつるんで憧れたりとかどこか閉塞感を覚えて居場所を探してたなぁと思いました。僕の場合は、Skypeのグループが居場所でした。当時同じグループだったあの人たちは元気だろうか、とふとノスタルジーに浸ってしまいました。自分語りはこの辺で。
舞台はアメリカなので文化の違いはあれども観た後に少年時代を思い出す作品です。もし作中の彼らが再び集まることがあれば「mid90s」を鑑賞していることでしょう。
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